Application Migration Service (MGN) — リフト&シフトの自動化
継続的ブロックレベルレプリケーション、カットオーバー手順を解説します。
7Rの中で最も多く採用される「Rehost(リフト&シフト)」戦略を実現する中核サービスが AWS Application Migration Service (MGN) です。実はこのサービス、 1-3で解説したAWS DRSと同じ技術基盤を使っています。
SAA レベル:基礎概念
MGNの基本的な仕組み
- 移行対象サーバー(オンプレミス、他クラウド問わず)に軽量エージェントをインストール
- ブロックレベルで継続的にAWSへレプリケーション
- 任意のタイミングでAWS上にテスト起動、最終的に本番カットオーバー
SAA 試験のポイント
MGNは、ソースサーバーのOS・アプリケーションを変更することなく、そのままの状態でAWSへ移行します。これがRehost戦略の技術的な実現手段であり、アプリケーションコードの改修が不要という点がSAAで頻出します。
DRS(1-3記事)との関係
- MGNとDRSは同じレプリケーション技術基盤を共有している
- DRSは「災害復旧」目的、MGNは「恒久的な移行」目的という用途の違いがある
SAP レベル:高度な設計シナリオ
継続的ブロックレベルレプリケーションによる移行フロー
SAP 試験のポイント
MGNは初期の一括同期後、継続的にソースサーバーの変更差分をAWSへレプリケーションし続けます。SAPレベルでは、この特性を活かし、移行のテスト起動を何度でも安全に繰り返せる(テスト起動はソースサーバーやレプリケーションに影響を与えない)という利点を活用した、入念な移行リハーサルの実施が問われます。
Step 1: エージェントインストール、継続的レプリケーション開始
Step 2: テスト起動(何度でも実施可能、本番影響なし)でアプリケーション動作を検証
Step 3: 問題があれば設定を調整し、再度テスト起動で確認
Step 4: 十分に検証できたら、本番カットオーバー(切り替え)を実施
カットオーバー手順の設計
SAP 試験のポイント
最終的なカットオーバーでは、ソースサーバーを停止し、AWS上のレプリカインスタンスを本番として起動します。この際、SAPレベルではDNSやロードバランサーの向き先切り替えを含めた総合的な切り替え計画が問われます。特に、切り替え後にソースサーバー側への意図しないトラフィック流入を防ぐため、切り替え手順とロールバック手順を事前に明文化しておくことが重要です。
設計上の落とし穴
「MGNでレプリケーションが完了していれば、いつでも安全にカットオーバーできる」という判断だけでは不十分です。カットオーバーの瞬間には、**アプリケーションレベルでの動作確認(テスト起動時とは異なるネットワーク経路・DNS設定での実際の疎通確認)**が必要であり、この検証を省略すると、切り替え後に予期しない接続エラーが発生するリスクがあります。
大規模移行における自動化とオーケストレーション
- 数百台規模のサーバーをMGNで移行する場合、CLIやAPIを使い、レプリケーション設定・テスト起動・カットオーバーの各ステップをスクリプト化して自動化することで、手動オペレーションのミスと工数を削減する
- 前記事で解説した移行波(Wave)の単位で、複数サーバーのカットオーバーを一括オーケストレーションする設計が実務で使われる
まとめ
- SAA: MGNがRehost戦略を実現する技術基盤であること、DRSとの関係を理解する。
- SAP: 継続的レプリケーションを活かした反復的なテスト起動、総合的なカットオーバー計画の設計ができる。
次は Database Migration Service (DMS) と Schema Conversion Toolを、移行ドメインの文脈で見ていきましょう。