コンピューティング選定 — On-Demand・Spot・Savings Plansの組み合わせ
ワークロード特性に応じた購入オプションの組み合わせ設計と、Spotインスタンスの中断対策設計を解説します。
新規ソリューション設計の段階から、コンピューティングリソースの購入戦略を組み込むことが コスト効率の良いアーキテクチャの鍵になります。本記事ではその設計判断を整理します。
SAA レベル:基礎概念
購入オプションの基本比較
| オプション | 特徴 | 適する場面 |
|---|---|---|
| On-Demand | 従量課金、コミットメントなし | 短期的・予測困難なワークロード |
| Spot | 最大90%割引、AWSの都合で中断される可能性あり | 中断耐性のあるワークロード(バッチ処理等) |
| Savings Plans / RI | 長期コミットで割引 | 予測可能な定常ワークロード |
SAA 試験のポイント
Spotインスタンスは、AWSがそのキャパシティを他の用途で必要とした際に2分前の通知で中断される可能性があります。この特性上、「いつ中断されても業務影響が少ないワークロード」にのみ適する、という前提がSAAで問われます。
SAP レベル:高度な設計シナリオ
ワークロード特性に応じた組み合わせ設計
SAP 試験のポイント
SAPでは、単一の購入オプションに依存するのではなく、ワークロードのベースライン需要とピーク需要を切り分けて、異なる購入オプションを組み合わせる設計が問われます。「常時必要な最低限のキャパシティ(ベースライン)」はSavings Plans/RIでカバーし、「変動する需要のピーク部分」はSpotやOn-Demandで補う、という設計が最もコスト効率の良いパターンとして頻出します。
Spotインスタンスの中断対策設計
SAP 試験のポイント
Spotインスタンスの中断リスクを最小化するには、複数のインスタンスタイプ・複数のAZに分散させる「キャパシティの多様化」が有効です(2-1のAuto Scaling記事の混合インスタンスポリシーとも関連)。さらに、Spot中断通知(2分前の警告)をCloudWatch Events/EventBridgeで検知し、グレースフルシャットダウン(処理中のタスクの安全な退避)を自動化する設計がSAPレベルで問われます。
設計上の落とし穴
「Spotインスタンスは安いから、本番のクリティカルなワークロードにもできるだけ使うべき」という判断は危険です。ステートフルで中断に弱い処理(長時間の単一トランザクション処理等)にSpotを使うと、中断によるデータ不整合や処理のやり直しコストが、コスト削減効果を上回る可能性があります。ステートレスかつ再実行可能な設計(バッチ処理、CI/CDのビルドジョブ等)に限定して適用するのがSAPの判断基準です。
Fargate Spotの活用
- ECS/EKSのコンテナワークロードにおいても、Fargate Spotを使うことで、サーバーレスの運用簡便性を保ちながらコスト削減が可能
- ステートレスなAPIサーバーやバッチ処理ジョブに、Fargate Spotとオンデマンドを混在させる設計が一般的
まとめ
- SAA: On-Demand/Spot/Savings Plansの基本的な特性と適する場面を理解する。
- SAP: ベースライン+バーストの組み合わせ設計、Spot中断通知を活用したグレースフルシャットダウンの自動化ができる。
次は ストレージ階層の最適化を見ていきましょう。